中古車の保証書と「保証付き」表示のルール|公正取引協議会の規約で確認

中古車を「保証付き」で売るとき、プライスボードや広告に何を書き、お客様にどんな保証書を渡せばよいかは、自動車公正取引協議会の自動車公正競争規約で細かく決まっています。「保証付き」と書いた車に保証費用を別に求める、車ごとに保証が違うのに「全車保証付き」とだけ書くといった表示は、規約上の問題になるうえ、お客様のクレームの原因にもなります。この記事では、2025年4月版の自動車公正競争規約集に収められた中古車の施行規則と中古自動車保証書作成要領、自動車公正取引協議会の広告FAQをもとに、「保証付き」表示のルールと保証書に書く項目を整理します。保証会社の保証を付けるときの表示も、販売店の立場からまとめました。保証の期間の決め方は中古車保証の期間で扱っています。

この記事で確認した一次情報

「保証付き」と「保証なし」の定義(施行規則第11条)

自動車公正競争規約の中古車に関する施行規則第11条は、「保証付き」を、販売業者又は製造業者の保証に要する費用が車両価格に含まれ、保証書が付いているものと定めています。保証に要する費用が車両価格に含まれていないものは「保証なし」です。規約第11条は、一般消費者に直接販売する目的で展示する中古車に、保証の有無を含む必要な表示事項を表示するよう求めており、施行規則第11条は、「保証付き」か「保証なし」かを販売価格に近接した箇所などに明瞭に表示するとしています。保証の有無は「保証費用が車両価格に入っているか」の一点で決まります。保証会社の保証を有料で選んでもらう車は、保証そのものは付けられても規約上は「保証なし」になり、その場合は有償で保証を付けられる旨を表示します。新車保証の継承のために定期点検整備費用が別に必要な場合も、「保証なし」と表示したうえでその旨を書きます。

状態表示あわせて書くこと
保証費用が車両価格に含まれ、保証書が付く保証付き保証の内容、保証期間又は保証走行距離数、保証書の交付がある旨
保証費用が車両価格に含まれない保証なしなし
保証費用は含まれないが、有料で保証を付けられる保証なし有償で保証を付けられる旨
新車保証の継承に定期点検整備費用が別に必要保証なし保証継承のために定期点検整備費用が必要な旨

自動車公正取引協議会の消費者向けページ(必要表示 展示車)も、保証に要する費用が車両価格に含まれる場合は「保証付き」、それ以外は「保証なし」と表示していると説明しています。インターネットや新聞、雑誌などの広告で販売価格を表示する場合(規約第11条第2項、第3項)は、保証書の交付がある旨の付記は省略できます。

「保証付き」と表示するときに書く保証内容と期間

「保証付き」と表示する場合は、「保証の内容」と「保証期間又は保証走行距離数」を付記します。自動車公正取引協議会の広告FAQによると、保証内容とは保証の対象となる部分や免責内容などのことで、書き方は保証の種類で3つに分かれます。内外装、油脂類、消耗品を除く部分を対象にした一般的な中古車保証は、「●●保証」のような保証の名称か「部分保証」と書きます。メーカー保証が残っている車は「メーカー保証」「新車保証」「部分保証」のいずれかで書き、期間と距離が初度登録からのものであることを明瞭に表示します。「エンジンのみ保証」のように一般的な中古車保証より対象が著しく限られている場合や、工賃又は部品代が有料になる場合は、その旨を明瞭に表示しなければなりません。表示しない場合は、保証内容を実際より有利に誤認させるおそれのある「不当表示」に当たるとFAQは明記しています。

保証の種類保証内容の書き方広告FAQの表示例
一般的な中古車保証(内外装、油脂類、消耗品を除く)保証の名称、または「部分保証」保証付き コンフォート保証 1年間又は走行無制限
メーカー(新車)保証「メーカー保証」「新車保証」「部分保証」。初度登録からの期間と距離である旨保証付き メーカー保証 初度登録から3年又は走行5万km まで
特別な制限のある保証「エンジンのみ保証」「部品代は有料」など、制限の内容対象の限定や有料の費目を明瞭に書く

保証会社の商品を「保証付き」で付ける場合も、書き方は同じです。保証会社の商品名を保証の名称として書き、期間又は距離を添えます。買得典のミニマムプランのようにエンジンの一部とミッション機構の一部だけを対象にしたプランは、対象が限られている旨を書いておくほうが安全です。

中古車の保証書に記載する10項目(中古自動車保証書作成要領)

中古車の保証書には、自動車公正取引協議会が定める中古自動車保証書作成要領の10項目を明りょうに記載します。施行規則第11条は、保証書を「販売業者又は製造業者が自己の販売又は製造する自動車について、一定の条件の下に一定期間内に発生した故障に対して、主として無償修理する旨等を記載した書面」と定義し、事業者が保証書を作るときはこの作成要領に基づくよう定めています。10項目は、保証書である旨、車名と型式と登録番号又は車台番号、保証者、無料修理等の実施者、保証期間、保証の態様、保証の対象となる部分、保証の適用除外、消費者の費用負担、保証を受けるための条件又は手続きです。このうちクレームに直結するのは、対象となる部分、適用除外、費用負担の3つです。自動車公正取引協議会の相談Q&A(Q3)は、保証内容に明確な定めがない限り部品代を含めて無償で修理を求められると回答しているため、有料になる費目は必ず書いておきます。

項目作成要領が求める内容
1. 保証書である旨「保証書」「保証証券」「整備保証書」等の名称
2. 車名、型式及び登録番号又は車台番号検査証に記載された車名、型式、登録番号又は車台番号
3. 保証者の氏名又は名称、住所及び電話番号保証書の内容について最終的に責任を負う事業者
4. 無料修理等の実施者の氏名又は名称、住所及び電話番号保証書の保証者と無料修理等の実施者が異なる場合の実施者
5. 保証期間無料修理等を行う期間の始期と終期。距離で行う場合は積算走行距離数。部分で期間が違う場合は対象ごとに記入
6. 保証の態様無料修理、部品取替え等、保証者が採るべき修理の方法
7. 保証の対象となる部分全部の保証か部分的な保証かを明らかにし、部分的なら対象又は対象外の部分を記入
8. 保証の適用除外に関する事項保証期間内でも無料修理等を受けられない場合を具体的に記入
9. 消費者の費用負担となる場合があればその内容部品代、工賃等の一部が有料となる費目。出張料等が有料ならその旨
10. 保証を受けるための条件又は手続き保証書の提示、定期点検の履行等、消費者が行わなければならない事項

保証会社の商品では3番と4番、10番を確かめる

保証会社の保証を付けると、保証書の内容に責任を負う事業者と、修理を手配する事業者が販売店と分かれることがあります。オークネット保証は、引受確認の後に販売店が保証書を発行する流れを公式サイトで説明しています。どの事業者が保証者で、故障時にどこへ連絡するかが保証書から読み取れるかを確認してください。修理前の連絡や点検の履行といった条件は10番に当たります。

保証会社の保証を付けるときの表示と支払総額

保証会社の保証を付けるときの表示は、保証料を車両価格に含めるか、有料のオプションにするかで変わります。車両価格に含めれば「保証付き」と表示し、保証会社の商品名や部分保証の別と、期間又は距離を書きます。有料のオプションにするなら規約上は「保証なし」で、有償で保証を付けられる旨を書きます。支払総額の扱いにも注意が要ります。自動車公正取引協議会の広告FAQは、メンテナンスパックとタイヤパンク保証を例に、オプションを買うかはお客様の選択に委ねるべきものなので、その費用をあらかじめ支払総額に含められないと回答しています。オプションを含まない支払総額を明瞭に表示したうえで、オプション込みの支払総額を「参考として」、文字の大きさを同等以下にし目立たないように表示することは可能です。購入を強制した場合は不当な価格表示になるとも書かれています。有料の保証を事実上の必須にする売り方は、規約の考え方に合いません。

保証会社の保証の付け方保証の有無の表示支払総額
保証料を車両価格に含める保証付き(商品名又は部分保証、期間又は距離)保証料を含めた車両価格で表示
有料オプションとして選んでもらう保証なし(有償で保証を付けられる旨)保証料を含めずに表示。保証込みの金額は参考として目立たないように表示できる
メーカー保証を継承し、継承のための点検整備費用を車両価格に含める保証付き(メーカー保証、初度登録からの期間又は距離)点検整備費用を含めた車両価格で表示

車両価格に含める場合、相談Q&AのQ24とQ23が示すとおり、「保証付き」と表示した車に保証費用や保証のための定期点検整備費用を別に求められません。保証会社の加入に点検記録簿が要る商品では、その点検整備費用も車両価格に含めて表示します。

広告とプライスボードで問題になる保証の表示例

保証の表示で問題になりやすいのは、表示した保証と実際の保証が車ごとに食い違う場合です。自動車公正取引協議会は中古車の不当表示の例として、「全車6ヶ月又は1万キロ保証」と表示しながら廉価販売車は保証なしだったケースを挙げています。規約第14条は、第11条の必要な表示事項についての虚偽の表示や、アフターサービス、保証条件その他の取引条件を実際より有利に誤認させるおそれのある表示を禁じています。車によって保証の期間や距離が違う店が「全車保証付き」とだけ書き、中身を商談で説明する方法について、広告FAQは掲載車両ごとに保証内容と期間又は距離を明瞭に表示するよう回答しました。チラシのスペースが足りないときは「保証A 1年間又は10千km(部分保証)」「保証B 3ヶ月又は3千km(部分保証)」のようにマークと説明を並べ、車ごとにマークを付ける方法が示されています。

  • 「全車保証付き」と書いて、安い車だけ保証を付けない(不当表示の例として自動車公正取引協議会が挙げるケース)。
  • 車ごとに保証が違うのに、広告には「全車保証付き」とだけ書く(掲載車両ごとの表示が必要)。
  • 「保付」のマークを保証付きの車だけに付け、保証なしの車には何も書かない(「保無」も表示する)。
  • マークを使うのに、同じページにマークの意味の説明がない。
  • 「保証付き」なのに、保証費用や保証のための点検整備費用を別に請求する(相談Q&AのQ23、Q24)。
  • エンジンだけを対象にした保証や部品代が有料の保証を、制限を書かずに「保証付き」とだけ表示する。

規約が適用される販売店と景品表示法の関係

自動車公正競争規約は、景品表示法第36条にもとづき、公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けて業界が自主的に定めたルールです。消費者庁の説明では、公正競争規約は規約に参加していない事業者には適用されず、非参加事業者の不当表示には消費者庁が景品表示法に基づいて対応します。規約に参加する事業者は、規約の内容を守っていれば景品表示法上問題とされることはないとされています。つまり規約は会員の販売店に直接かかるルールですが、会員でない販売店にとっても、保証の表示がどこまでなら問題にならないかを知る具体的な物差しになります。規約第11条の必要表示は、店頭の展示車ではフロントガラスの内側で外側から見える所に、A4判以上の用紙で表示するよう施行規則で定められています。保証の有無は販売価格や走行距離数、修復歴の有無と並ぶ必要表示事項の1つです。

必要表示事項(店頭の展示車)自動車公正取引協議会の説明
販売価格支払総額と、内訳としての車両価格と諸費用
保証の有無保証費用が車両価格に含まれれば保証付き、それ以外は保証なし。保証付きなら保証内容と期間又は距離
定期点検整備の有無納車までに実施するなら定期点検整備付き、実施しないなら定期点検整備なし
修復歴の有無骨格部位の修正や交換歴があれば有。修復箇所は別途書面で表示
前使用者の点検整備記録簿の有無展示時点から遡り2年以内の定期点検整備と記録簿の備え付けがあれば有

保証書の写しの保存と社内の管理

施行規則第11条は、販売業者が購入者へ保証書を交付した日から保証満了日までの間、保証書の写しを保存するよう定めています。保証期間が3年の保証を付けたなら、3年間は写しを手元に置いておく必要があります。自社保証と保証会社の保証が混在する店では、どの車にどの保証を付け、いつ満了するかを車ごとに追えるようにしておかないと、故障の連絡を受けたときに保証の対象かどうかをすぐ答えられません。保証会社の保証では、加入時に送った車検証や点検記録簿の写し、保証会社からの引受確認もあわせて保管しておくと、修理の可否を問い合わせるときに役立ちます。修復歴車や要整備箇所のある車について購入者に交付した品質表示の書面は、作成の日から2年間の写しの保存が求められており、保証書とは保存期間が違う点にも注意してください。保証の加入状況と満了日は販売台帳と一緒に管理しておくと、満了前の点検や延長保証の案内にも使えます。

中古車保証の導入を、日本カーネットに無料で相談

「保証付き」の表示や保証書の様式を見直したい、保証会社の保証を車両価格に含めるかオプションにするかを決めたいといったご相談を受け付けています。保証会社ごとの保証書の発行の流れや加入条件の違いもご説明します。

保証の導入を無料で相談する電話 03-5256-7877

中古車の保証書と保証の表示に関するよくある質問

「保証付き」と「保証なし」は、何で決まりますか?
保証に要する費用が車両価格に含まれているかどうかで決まります。自動車公正競争規約の中古車に関する施行規則第11条は、販売業者又は製造業者の保証に要する費用が車両価格に含まれ、保証書が付いているものを「保証付き」、含まれていないものを「保証なし」と定めています。有料で保証を付けられる車は「保証なし」と表示し、有償で保証を付けられる旨を書きます。
保証書は必ず渡さなければいけませんか?
「保証付き」で売る場合は交付します。施行規則第11条は、販売業者は購入者に保証書を交付し、交付した日から保証満了日までの間、保証書の写しを保存するよう定めています。保証書を作るときは、自動車公正取引協議会の中古自動車保証書作成要領に沿って10項目を記載します。
「全車保証付き」と書いて、保証の中身は商談で説明してもよいですか?
車ごとに保証内容や期間が違うなら、それでは足りません。自動車公正取引協議会の広告FAQは、掲載車両ごとに保証内容と保証期間又は保証走行距離数を明瞭に表示するよう求めています。スペースが小さい場合は「保証A」「保証B」のようなマークと、その説明を同じ紙面に載せる方法が例示されています。
メーカー保証を継承した中古車は、どう表示しますか?
保証継承に必要な定期点検整備費用を車両価格に含めて支払総額を表示し、保証内容を「メーカー保証」「新車保証」「部分保証」のいずれかで書きます。期間と距離は「初度登録から3年又は6万km」のように、初度登録からのものであることを明確に書きます。一般保証と特別保証を分けて書く例も広告FAQに載っています。
規約は自動車公正取引協議会の会員でない販売店にも関係ありますか?
消費者庁は、公正競争規約は規約に参加していない事業者には適用されず、非参加事業者の不当表示には消費者庁が景品表示法に基づいて対応すると説明しています。規約は景品表示法第36条にもとづき公正取引委員会と消費者庁長官の認定を受けた業界のルールで、参加事業者は規約を守っていれば景品表示法上問題とされることはないとされています。
販売した車の保証や整備の記録は、販売・整備の管理とまとめて扱えますか?
保証の加入状況や修理の履歴を販売台帳と別に管理すると、問い合わせのたびに探す手間がかかります。車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で顧客・車両ごとに記録しておくと、保証期間や修理歴をすぐ確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。

参考にした一次情報

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。規約と施行規則の条番号は、自動車公正取引協議会の自動車公正競争規約集(2025年4月)の中古自動車の章によります。

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