自社保証と保証会社の保証の違い|中古車販売店のリスクと手間を比較

中古車に保証を付けるとき、販売店が最初に決めるのは「自社で保証するか、保証会社の商品を使うか」です。自社保証は始めるのに契約が要らず、保証の中身も自由に決められます。その代わり、故障の修理費は自社の持ち出しになり、遠方のお客様の故障にも自社で対応しなければなりません。保証会社の保証は修理費とコールセンターを保証会社が受け持ちますが、加盟の審査や加入手続き、お客様への条件の説明といった手間が販売店に残ります。この記事では、どちらを選んでも変わらない民法の責任と、自動車公正取引協議会が定める保証書のルールを押さえたうえで、両者の違いを販売店の立場から比べます。保証そのものの仕組みは中古車保証とは、導入の流れは中古車保証の導入方法で扱っています。

この記事で確認した一次情報

自社保証と保証会社の保証の違い(保証者と修理費の負担)

自社保証は販売店自身が保証者になり、保証期間中の故障の修理費を自社で負担する保証です。保証会社の保証は、販売店が保証会社と加盟店契約を結んで保証料を支払い(オークネット保証は月1回の精算)、故障の修理費は保証会社が負担する仕組みです。自動車公正取引協議会の中古自動車保証書作成要領は、保証書に「保証書の内容について最終的に責任を負う事業者」の名称と連絡先を書き、無料修理を実際に行う事業者が別にいるときはその事業者も書くよう定めています。つまり、どちらの保証かは保証書の保証者欄を見れば分かります。保証会社の商品では、買得典のようにNMSが商品を企画し、加盟店が販売して、NMSがサービス実務を受託する方式が公式サイトで説明されています。修理工場の手配やロードサービスの受付を保証会社が持つ点が、自社保証との一番大きな違いです。

比べる項目自社保証保証会社の保証
保証者(保証書の責任者)販売店保証会社または販売店(商品により保証書の発行者と修理の実施者が分かれる)
保証期間中の修理費販売店が負担保証会社が負担(保証書の対象範囲内)
保証の中身自社で自由に決める商品のプランから選ぶ。年式や走行距離の加入条件がある
故障の受付販売店の営業時間内コールセンター。ロードサービスは24時間365日の商品が多い
遠方のお客様の修理自社に持ち込んでもらうか、近くの工場と個別に交渉保証会社が提携工場を案内(買得典は全国12,000ヶ所と新LPに記載)
始めるまでの手続き保証書の様式を作るだけ加盟の申込と審査、契約。EGS保証は約2週間(2025年時点)
固定費なし商品による(オークネット保証は紹介経由で月額0円、EGS保証は月5,000円(税別)、2025年時点)

保証会社の数字は各社の公式サイトの記載です。買得典は公式ページによって工場数などの表記が異なり、ここでは新しいLP(/warranty/)の数字を使っています。EGS保証は公式サイトが現在開けないため、2024年から2025年のアーカイブで確認した2025年時点の情報です。

自社保証のリスク(修理費、遠方のお客様、口約束)

自社保証で販売店が抱えるリスクは、修理費の上限が読めないこと、遠方で故障したときに対応しにくいこと、保証の範囲があいまいなまま販売してしまうことの3つです。修理費は保証料のように前もって受け取る仕組みがないため、エンジンやミッションの大きな故障が保証期間中に1件出ると、その車の粗利を超えることがあります。保証会社の商品が保証箇所を数十から数百に分け、修理限度額を決めているのは、この費用を読める形にするためです。たとえばプレミアの故障保証は、契約月数ごとに累積の修理上限を6か月と12か月で50万円、66か月から120か月で200万円(いずれも税抜)と公開しています。自社保証でも、保証書に対象部位と上限、有料になる費目を書いておかないと、お客様は「全部無料で直してもらえる」と受け取ります。自動車公正取引協議会の相談Q&Aも、保証内容に明確な定めがなければ部品代を含めて無償修理を求められると回答しています。

遠方のお客様には、もう1つの問題があります。ネット掲載で県外のお客様に売ると、故障のたびに車を自社まで運ぶか、地元の工場に修理を頼んで費用を精算するかを決めなければなりません。地元の工場とのやり取りは修理内容の確認から支払いまで販売店の仕事になります。

  • 保証書を作らず口頭で「保証付き」と伝えた:口約束でも保証付きに変わりはなく、保証内容に定めがなければ部品代を含めて無償修理を求められる(自動車公正取引協議会 Q3)。
  • 対象部位を書かずに「1年保証」とだけ書いた:エアコンやナビ、内装まで対象と受け取られやすい。
  • 上限金額を決めていない:1台の大きな故障で、その車の利益が消える。
  • 遠方納車の車に自社保証を付けた:修理工場の手配と費用の精算が販売店の仕事になる。

自社保証で始めるなら、保証書の10項目を先に埋める

自動車公正取引協議会の中古自動車保証書作成要領は、保証者、保証期間、保証の対象となる部分、適用除外、お客様の費用負担、保証を受けるための手続きなど10項目を保証書に明りょうに書くよう求めています。この10項目を自社で埋められない場合は、条件が決まっている保証会社の商品を使うほうが説明の手間は少なくなります。項目の詳しい内容は中古車の保証書と「保証付き」表示のルールで解説しています。

保証会社の保証で販売店に残る手間

保証会社の保証に切り替えても、加盟の手続き、1台ごとの加入手続き、お客様への条件の説明、故障時の最初の受付は販売店の仕事として残ります。加盟はどの商品も審査制で、スーパーロング保証の公式FAQは古物商許可と定期的な販売を条件に挙げ、EGS保証は2025年時点の公式情報で申込から開始まで約2週間としていました。加入手続きはFAXで書類を送る商品が多く、オークネット保証は名義変更後の車検証と12カ月点検表などを送り、引受確認の後に販売店が保証書を発行する流れです。EGS保証も鑑定や認証工場での整備は不要としつつ、12ヶ月点検相当の点検記録簿を求めていました。加入条件の確認も販売店の役目です。プレミアの故障保証は国産車で15年経過未満かつ15万km以下、買得典は初度登録から15年以内かつ15万km以内(プランにより13年、13万km)と、年式と距離で入れない車があります。

  1. 1. 加盟の申込と審査

    保証会社の申込フォームや電話で申し込み、審査を受けて契約します。スーパーロング保証は古物商許可を加盟の条件に挙げています。

  2. 2. 加入できる車かを確認

    年式、走行距離、排気量、輸入車か、修復歴の有無を商品の加入条件と照らし合わせます。プレミアの故障保証は修復歴車と輸入車に加入できません。

  3. 3. 点検整備と書類の送付

    12カ月点検などの点検記録簿と車検証を送ります。現状販売車は加入できない商品があります(スーパーロング保証)。

  4. 4. 保証書の交付と説明

    保証書を渡し、対象部位、免責期間、修理前に連絡が要ること、名義変更で失効すること(買得典の場合)などを説明します。

  5. 5. 故障時の一次受付

    お客様からの連絡を受け、保証会社のコールセンターへつなぎます。事前の承認なしに修理すると対象外になる商品が多いため、先に修理を始めないよう伝えます。

この5つのうち、販売店の負担が一番重いのは4番目の説明です。保証会社の保証は対象外の条件が細かく決まっているため、説明が足りないと「保証付きと言われたのに直してもらえない」というクレームが販売店に向きます。

保証の有無にかかわらず残る販売店の責任(民法の契約不適合責任)

自社保証でも保証会社の保証でも、さらに保証なしで売った場合でも、販売店は民法の契約不適合責任を負います。民法第562条は、引き渡した目的物が種類、品質、数量について契約の内容に適合しないとき、買主が修補などの履行の追完を請求できると定めています。追完がなければ第563条で代金の減額を請求でき、第564条で損害賠償の請求や契約の解除も妨げられません。期間について、第566条は、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しなければ、これらの請求ができなくなると定めています。ただし売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この制限はかかりません。責任を負わない特約を結んでも、第572条により、売主が知りながら告げなかった事実の責任は免れません。保証は、この法律上の責任とは別に販売店が上乗せする約束だと考えると整理しやすくなります。

国民生活センターの啓発リーフレット(2022年3月発行、自動車公正取引協議会が作成に協力)も、保証がない場合でも、通常の使用損耗とはいえない不具合で契約時に説明を受けていなかったものは販売店に無償修理を求められると案内しています。保証がある場合は、その不具合が保証の対象なら無償修理で、対象外なら保証がない場合と同じ扱いです。

自動車公正取引協議会の相談Q&A(Q1、Q2)は改正前の用語「瑕疵担保責任」で書かれており、販売店が不具合を知らなかった場合でも責任を免れないと回答しています。現在の民法では第562条以下の規定がこれに当たります。契約不適合責任と保証の関係は契約不適合責任と中古車保証の関係で詳しく扱います。

自社保証と保証会社の保証を組み合わせる方法

自社保証と保証会社の保証は、どちらか一方に決める必要はありません。車両価格に含める短い自社保証を全車に付け、長期の保証は保証会社の商品を有料で選んでもらう形にすれば、低価格帯の車でも「保証付き」で売りつつ、大きな故障の費用は保証会社に回せます。このとき表示のルールに注意が要ります。自動車公正競争規約の施行規則第11条は、保証に要する費用が車両価格に含まれ保証書が付いているものを「保証付き」と定め、それ以外は「保証なし」と表示したうえで、有償で保証を付けられる場合はその旨を表示するよう定めています。保証会社の有料保証だけを用意している車は「保証なし(有償保証あり)」といった書き方になり、「保証付き」とは表示できません。自社工場で保証修理を続けたい場合は、スーパーロング保証のように基準を了承すれば自社工場での保証修理を認める商品を選ぶ方法もあります。

組み合わせ方表示の仕方(施行規則第11条)向いている販売店
全車に短期の自社保証、希望者に保証会社の長期保証(有料)「保証付き」と自社保証の内容、期間又は距離。長期保証は有料オプションとして別に案内低価格帯の在庫が多く、全車に保証を付けたい店
保証会社の保証を車両価格に含める「保証付き」と保証会社の商品名や部分保証の別、期間又は距離価格帯が高めで、保証を売りにしたい店
保証会社の保証を有料オプションでのみ用意「保証なし」と、有償で保証を付けられる旨現状販売が中心で、希望者だけに保証を付けたい店
自社保証のみ「保証付き」と自社保証の内容、期間又は距離商圏が狭く、自社工場で修理まで完結できる店

組み合わせる場合は、同じ店頭に複数の保証が並ぶため、車ごとにどの保証が付くかを広告とプライスボードで分かるようにしておきます。表示の具体例は保証書と「保証付き」表示のルールにまとめています。

自社保証から保証会社へ切り替える判断基準

自社保証から保証会社に切り替えるかどうかは、遠方への販売の比率、保証修理にかかった費用、故障の受付にかかる時間、自社工場の有無の4つで判断できます。ネット掲載で県外のお客様が増えたなら、全国の提携工場とロードサービスを持つ保証会社の利点が大きくなります。保証修理の費用は、過去1年の保証修理を車ごとに集計し、保証会社に払う保証料と比べます。集計するには、販売した車ごとに保証の内容と修理の履歴が残っている必要があります。故障の受付は営業時間外の連絡が多いかどうかが目安で、24時間365日のロードサービスが付く商品なら夜間や休日の連絡を保証会社が受けます。プレミアは販売店向けページで、購入後の問い合わせや修理対応をプレミアに任せられること、遠方のお客様にも保証を付けられることを加盟のメリットに挙げています。反対に、商圏が狭く自社工場で修理まで完結し、保証修理の費用も小さいなら、自社保証を続ける理由は十分にあります。

判断する材料保証会社が向く状態自社保証のままでよい状態
遠方への販売ネット経由で県外のお客様が増えているほとんどが自社の商圏内
保証修理の費用1件の大きな修理で粗利が消えたことがある小さな修理が中心で、年間の総額も読める
故障の受付夜間や休日の連絡に対応しきれない営業時間内の連絡で足りている
自社工場工場がない、または混んでいて保証修理を受けにくい自社工場で修理まで完結できる
保証の記録車ごとの保証内容と修理履歴が追えない台帳で保証期間と修理歴をすぐ出せる

切り替えるときは、すでに自社保証を付けて売った車の保証は満了まで自社で対応します。新旧の保証が混在する期間ができるので、保証書の写しを車ごとに整理しておくと問い合わせに答えやすくなります。施行規則第11条も、保証書を交付した日から保証満了日まで写しを保存するよう定めています。

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自社保証を続けるか、保証会社の保証を使うか、両方を組み合わせるかを、販売台数や遠方への販売の比率、自社工場の有無をお聞きしたうえで一緒に整理します。買得典、スーパーロング保証、オークネット保証、プレミアの故障保証、EGS保証の加盟条件の違いもご説明します。

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自社保証と保証会社の保証に関するよくある質問

自社保証と保証会社の保証で、お客様から見た違いはありますか?
保証書に書かれる保証者と、故障したときの連絡先が変わります。自動車公正取引協議会の中古自動車保証書作成要領は、保証書の内容に最終的に責任を負う事業者と、無料修理を実際に行う事業者が異なる場合はその両方の名称、住所、電話番号を書くよう定めています。保証会社の商品ではコールセンターやロードサービスの窓口が加わるので、お客様には連絡先を2つ渡すことになります。
自社保証をやめて保証会社に切り替えると、販売店の責任はなくなりますか?
なくなりません。保証は販売店とお客様の約束で、民法の契約不適合責任とは別に存在します。保証会社の保証を付けても、引き渡した車が契約の内容に適合しなければ、お客様は民法第562条以下にもとづいて販売店に修補などを求められます。保証会社に任せられるのは、保証書に書かれた範囲の故障の受付と修理です。
自社の整備工場で保証修理を続けたいのですが、保証会社でも可能ですか?
商品によります。スーパーロング保証の公式FAQは、保証修理基準を了承すれば自社工場での保証修理も可能と書いています。EGS保証は2025年時点の公式情報で、販売店の自社工場を案内することもできると説明していました。一方、買得典は修理工場をNMSが案内し利用者は選べないとしています。導入前に、自社工場を使えるかを確認してください。
保証会社を使うと、月々の固定費はかかりますか?
公式サイトで確認できた範囲では、オークネット保証はオークネット会員やアイオーク会員、提携企業や団体の紹介なら月額利用料0円です。EGS保証は2025年時点の公式情報で、毎月5,000円(税別)の事務費が申込のない月も発生するとしていました。買得典とスーパーロング保証は販売店向けの費用を公開していないため、個別の問い合わせになります。
保証料はお客様にいくらで売ればよいですか?
オークネット保証とEGS保証(2025年時点)は、保証料の小売価格を販売店が自由に設定できると公式サイトに書いています。買得典の利用者向けFAQは、料金をパートナー店ごとに設定するとしています。仕入れにあたる保証料は年式や走行距離、排気量で変わり、公開しているのはプレミアの故障保証の料金表だけです。原価と自社の説明の手間を見て決めてください。
販売した車の保証や整備の記録は、販売・整備の管理とまとめて扱えますか?
保証の加入状況や修理の履歴を販売台帳と別に管理すると、問い合わせのたびに探す手間がかかります。車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で顧客・車両ごとに記録しておくと、保証期間や修理歴をすぐ確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。

参考にした一次情報

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。保証商品の条件は各社の公式サイトの記載によります。EGS保証はWayback Machineのアーカイブ(2024年から2025年)で確認しました。

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