中古車販売のトラブル・クレームを保証で防ぐ方法|販売店の説明と対応手順

中古車販売のクレームで販売店の負担が大きいのは、納車後の故障をめぐるものです。「状態は良いと言われたのに」「保証付きと聞いていたのに部品代を請求された」という言い分は、保証の有無や保証内容の説明が足りないときに起こります。保証を付ければすべてのトラブルが消えるわけではありませんが、故障の費用を誰が負担するかを事前に決めておけるため、話し合いの出発点がはっきりします。この記事では、国民生活センターの相談件数と事例、自動車公正取引協議会の相談Q&Aをもとに、保証で防げるトラブルと防げないトラブルを分け、販売店が契約前と故障時に取る手順をまとめます。保証なしで売るリスクは中古車の「保証なし」はなぜ危険?で扱っています。

この記事で確認した一次情報

中古車のトラブル相談の件数と内容(国民生活センター)

国民生活センターのPIO-NETに登録された中古自動車の相談件数は、2023年度が9,034件、2024年度が7,059件、2025年度が8,642件です。2026年度は5月31日時点で861件で、前年同期の897件とほぼ同じ水準で推移しています。この件数には消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。同センターが紹介する最近の事例を見ると、相談の中身は大きく、契約のキャンセル、広告の表示と実物の違い、納車後に見つかった不具合、代金を払った後の連絡不能、買取時の減額の5つに分かれます。このうち保証が関わるのは、納車後に見つかった不具合です。雨漏りやエアコンの故障のように、購入時には気づかず乗ってから分かる不具合は、販売店に修理や返金を求める相談になります。現車を見ずにネットで買った車の故障も事例に挙がっており、遠方への販売が増えるほど、この種の相談に備える必要が出てきます。

国民生活センターの最近の事例トラブルの種類保証との関係
納車が遅れそうで解約したら、高額なキャンセル料を求められた契約、キャンセル関係しない。注文書のキャンセル条項の説明で防ぐ
禁煙車と表示されていたのに煙草臭い表示と実物の違い関係しない。広告表示の正確さで防ぐ
納車後に雨漏りに気づいた。修理できないので解約して返金してほしい納車後の不具合保証の対象部位なら保証修理。対象外なら民法上の責任の問題になる
現車を見ずに買った車で、エアコンの故障が分かった納車後の不具合(遠方購入)保証の対象部位なら保証修理。遠方では修理工場の手配が課題
代金を振り込んだが納車の連絡がなく、事業者と連絡が取れない連絡不能関係しない
売却後に、エンジンの異音を理由に買取額の減額を求められた買取時の減額関係しない(買取側のトラブル)

事例は、国民生活センターが相談者の申し出内容をもとにまとめたものです。事例ごとの件数は公表されていないため、どの種類が多いかはこの表からは分かりません。

故障をめぐるクレームが起きる3つの場面

故障をめぐるクレームは、保証なしで売った車が納車直後に壊れたとき、保証付きで売ったのに保証内容の説明が食い違ったとき、保証付きと表示したのに追加費用を求めたときの3つの場面で起こりやすくなります。自動車公正取引協議会の相談Q&Aには、この3つに当たる相談がそれぞれ載っています。現状販売で買った車のエンジンが納車直後に止まった相談(Q1)では、通常の使用損耗とはいえない不具合で売買の際に分からなかった場合は、販売店に無償修理を求められ、修理できない場合は契約を解除できると回答しています。保証付きで買った車の修理で部品代を求められた相談(Q3)では、保証内容に明確な定めがない限り、部品代を含めて無償で修理を求められるとしました。「全車保証付き」の広告を見て商談したら保証費用を別に求められた相談(Q24)と、保証のための定期点検整備費用を別に求められた相談(Q23)では、いずれも別途支払う必要はないと考えられると回答しています。

場面自動車公正取引協議会の回答(要旨)販売店が先にしておくこと
保証なし(現状販売)の車が納車直後に故障した(Q1)通常の使用損耗とはいえない不具合で売買の際に分からなかったものは無償修理を求められる。修理できなければ解除できる現状販売でも、分かっている不具合は契約前に書面で伝える
保証付きの修理で部品代を求めた(Q3)口約束でも保証付きに変わりはない。保証内容に明確な定めがなければ部品代を含めて無償保証書を交付し、有料になる費目を書いておく
「全車保証付き」なのに保証費用を別に求めた(Q24)保証付きと表示した以上、保証費用は販売価格に含めて表示すべきもの保証費用を車両価格に含めるか、表示を「保証なし(有償保証あり)」にする
保証の条件の点検整備費用を別に求めた(Q23)点検整備が保証の条件なら、その費用も販売価格に含めて表示する考え方点検整備費用を車両価格に含めて支払総額を表示する

Q1の回答は改正前の民法の用語「瑕疵担保責任」で書かれています。現在の民法では、第562条の追完請求、第563条の代金減額請求、第564条の損害賠償請求と解除がこれに当たります。

保証で防げるトラブルと防げないトラブル

保証で防げるのは、保証書に書いた対象部位の故障について「直すのか、誰が払うのか」で揉めることです。保証がある場合、その不具合が保証の対象であれば販売店に無償修理を求められ、対象外なら保証がない場合と同じ扱いになると、国民生活センターのリーフレットは整理しています。つまり保証書に対象部位、期間又は距離、有料になる費目が書かれていれば、故障の連絡を受けた時点で「保証で直す」「保証の対象外」の線を引けます。保証会社の保証なら、修理工場の案内や修理費の支払いも保証会社が受け持つため、販売店とお客様が金額で交渉する場面が減ります。一方で、キャンセル料、広告と実物の違い、代金の支払いと納車をめぐるトラブルは、保証では防げません。保証の対象外の不具合についても、民法の契約不適合責任は残ります。保証は故障の費用負担を前もって決める道具で、クレームそのものをなくす仕組みとは別だと考えておくと、説明の重点を外しません。

  • 保証で防げる:保証の対象部位の故障で、修理するかどうか、費用を誰が負担するかをめぐる言い争い。
  • 保証で防げる:遠方のお客様の故障で、どこで直すかが決まらない問題(全国の提携工場を持つ保証会社の商品の場合)。
  • 保証では防げない:注文書のキャンセル料、広告の「禁煙車」などの表示と実物の違い、納車の遅れ。
  • 保証では防げない:保証の対象外の部位でも、通常の使用損耗とはいえない不具合を説明せずに売った場合の民法上の責任。

消耗品と自然損耗の線引きを保証書に書く

国民生活センターのリーフレットは、自然損耗による不具合は修理が自己負担になると案内しています。どこまでを自然損耗とみなすかは揉めやすいため、自動車公正取引協議会の広告FAQが一般的な中古車保証の例として挙げる「内外装、油脂類、消耗品を除く部分」のように、対象外を保証書に書いておくと説明がぶれません。

契約前の説明と書面でトラブルを防ぐ手順

故障のクレームの多くは、契約前に「保証の有無と内容」を書面で示しておけば防げます。国民生活センターのリーフレットは消費者に向けて、広告やプライスボードで価格、保証の有無、定期点検整備実施の有無、走行距離、修復歴の有無が表示されているかを確認し、見積書で保証や整備費用などの諸費用の内容と金額を確かめ、注文書等の控えを必ず受け取るよう呼びかけています。消費者が確かめる項目は、販売店から見れば「渡しておくべき書面」の一覧です。自動車公正競争規約の施行規則第11条も、「保証付き」と表示する場合は保証の内容と保証期間又は保証走行距離数を付記し、購入者に保証書を交付するよう定めています。保証書を渡し、保証の対象と対象外、修理前に連絡が要ることを口頭でも説明し、その記録を残す。この流れを販売の手順に組み込むと、担当者が変わっても説明の中身がそろいます。

  1. 1. プライスボードと広告に保証の有無を表示

    「保証付き」なら保証の内容と期間又は距離を、「保証なし」で有償の保証を付けられるならその旨を書きます。

  2. 2. 見積書に保証の費用を分けて書く

    車両価格に含まれる保証と、有料で選べる保証を区別して記載します。

  3. 3. 分かっている不具合を書面で伝える

    現状販売の車でも、把握している不具合は注文書や説明書面に書き、お客様の確認を取ります。

  4. 4. 保証書を交付して説明する

    対象部位、免責期間、有料になる費目、故障時の連絡先と「修理前に連絡」を説明します。

  5. 5. 納車時に車の状態を一緒に確認

    自動車公正取引協議会の相談Q&A(Q1)も、納車時に車の状態を十分に確認するよう呼びかけています。気になる点はその場で記録します。

  6. 6. 書面の控えを保存する

    保証書の写しは保証満了日まで保存します(施行規則第11条)。注文書や説明書面の控えも車ごとにまとめます。

故障の連絡を受けたときの対応手順(保証会社の保証の場合)

保証会社の保証を付けた車で故障の連絡を受けたら、最初にすることはお客様に修理を始めないよう伝え、保証会社の窓口へつなぐことです。保証会社の保証は、事前に連絡や承認を受けずに修理すると対象外になる決まりがあります。買得典は購入店かフリーダイヤルへの連絡を求め、事前承認なしの修理は対象外としています。保証修理の受付は9時から17時30分で、ロードサービスは24時間です。オークネット保証は購入店かコールセンターに連絡すると症状に合った修理工場を案内し、利用者の判断で修理すると適用外になることがあると説明しています。プレミアの故障保証は修理前に保証事務局への連絡を求めます。EGS保証は2025年時点の公式情報で、故障発生から14日以内の連絡と着工前の連絡を求めていました。修理工場は保証会社が案内するのが基本で、買得典では利用者は工場を選べません。

商品連絡先と期限(公式サイトの記載)修理工場部品
買得典購入店かフリーダイヤル。事前承認なしの修理は対象外。1ヶ月以内に入庫NMSが案内(利用者は選べない)原則リビルト品、中古品
スーパーロング保証販売店からサポートセンターへ受付。緊急時は直接サポートセンターへ最寄りの指定工場を案内。基準を了承すれば自社工場も可記載なし
オークネット保証購入店かコールセンター。利用者の判断で修理すると適用外のことがある症状に合った工場を案内リサイクル部品、リビルト部品を積極的に使用
プレミアの故障保証修理前に保証事務局へ連絡記載なし記載なし
EGS保証(2025年時点)故障発生から14日以内、着工前に連絡EGS提携工場。販売店の自社工場の案内も可原則、中古品、再生品、リビルト部品

部品にリビルト品や中古品を使う商品では、新品で直してほしいというお客様の要望と食い違うことがあります。販売時の説明に含めておくと、修理のときの行き違いを減らせます。

保証会社を使うと販売店のクレーム対応はどう変わるか

保証会社の保証を使うと、故障の受付、修理工場の手配、修理費の支払いが保証会社に移り、販売店のクレーム対応は「最初の受付と説明」に絞られます。プレミアは販売店向けのページで、購入後の問い合わせや修理対応をプレミアに任せられること、遠方のお客様にも保証を付けられることを加盟のメリットに挙げています。ロードサービスも付きます。買得典は全プランに24時間365日の緊急ロードサービスが自動付帯し、レッカーは現場から50kmまで無料です。プレミアの故障保証も中古車保証の全プランに緊急ロードサービスが付き、レッカーは10kmまで無料としています。夜間や休日に路上で止まったという連絡を、販売店の営業時間外でも保証会社の窓口が受けられます。ただし保証の対象外の故障や、保証会社の判断に納得しないお客様の不満は、販売店に戻ってきます。保証会社の条件を販売時に説明しておくことが、結局はクレーム対応の手間を減らします。

各商品の保証範囲や加入条件の違いは中古車保証会社を徹底比較、自社保証との違いは自社保証と保証会社の保証の違いで比べています。

中古車保証の導入を、日本カーネットに無料で相談

故障のクレームが多い、遠方のお客様への保証対応に手が回らないといった状況をお聞きし、保証範囲やロードサービス、修理工場の案内の仕組みが合う保証商品をご提案します。保証書の説明や加入手続きの流れも、導入前にご説明します。

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中古車販売のトラブルと保証に関するよくある質問

中古車のトラブル相談は、どのくらい寄せられていますか?
国民生活センターのPIO-NETに登録された中古自動車の相談件数は、2023年度9,034件、2024年度7,059件、2025年度8,642件です。2026年度は5月31日時点で861件(前年同期897件)でした。この数字には消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。
現状販売(保証なし)で売った車でも、納車直後の故障は販売店が直す必要がありますか?
求められる場合があります。国民生活センターのリーフレットは、通常の使用損耗とはいえない不具合で契約時に説明を受けていなかったものは、保証がなくても販売店に無償修理を求められると案内しています。民法第562条の追完請求にあたるもので、責任を負わない特約をしても、知りながら告げなかった事実については第572条により責任を免れません。
保証付きで売った車の修理で、部品代をお客様に請求できますか?
保証書に部品代が有料になると書いていなければ、難しいと考えてください。自動車公正取引協議会の相談Q&A(Q3)は、保証は一般に無償保証と考えられるため、保証内容に明確な定めがない限り部品代を含めて無償で修理を求められると回答しています。口頭で保証を約束した場合も「保証付き」に変わりはないとしています。
保証会社の保証で、お客様が先に修理してしまったらどうなりますか?
対象外になることがあります。買得典は事前承認なしの修理を対象外とし、オークネット保証も利用者の判断で修理すると適用外になることがあると説明しています。プレミアの故障保証は修理前に保証事務局への連絡を求めています。販売時に「故障したら修理の前に連絡を」と伝え、保証書にも連絡先を書いておくことが一番の予防になります。
保証を付ければ、キャンセル料のトラブルも防げますか?
防げません。国民生活センターの最近の事例には、納車の遅れで解約したらキャンセル料が高額だった相談が挙がっていますが、これは契約の取り決めの問題です。国民生活センターのリーフレットは、契約前に注文書等で契約成立時期とキャンセル料を必ず確認するよう消費者に呼びかけています。販売店側も商談の段階で書面を示して説明しておく必要があります。
販売した車の保証や整備の記録は、販売・整備の管理とまとめて扱えますか?
保証の加入状況や修理の履歴を販売台帳と別に管理すると、問い合わせのたびに探す手間がかかります。車両販売システム(車販ソフト)や自動車整備システム(自動車整備ソフト)で顧客・車両ごとに記録しておくと、保証期間や修理歴をすぐ確認できます。整備システム 比較や整備ソフト おすすめの情報を見るときは、整備ソフト 安いかどうかだけでなく、整備システム リースなしで始められるかも確かめてください。

参考にした一次情報

この記事は次の一次情報をもとに作成しています(2026年10月5日確認)。保証商品の条件は各社の公式サイトの記載によります。EGS保証はWayback Machineのアーカイブ(2024年)で確認しました。

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